妊娠中・初期におすすめの寝る姿勢は?体の不調別に適した寝方を紹介
赤ちゃんや自身の健康を守るために、妊娠中は寝る姿勢にも気をつけなければいけません。しかし、妊娠中の基本的な寝る姿勢や、寝苦しさを緩和する姿勢について、わからない人もいるでしょう。ここでは、妊娠初期の人に向けて、妊娠期間全体を通じて役に立つ寝る姿勢の情報を紹介します。また体の不調に適した寝る姿勢も解説するので、穏やかなマタニティライフにお役立てください。
- 妊娠初期から寝る姿勢に注意しよう
- 寝る姿勢はシムス位がおすすめ
- ケース別|妊娠初期におすすめの寝る姿勢
- 寝る姿勢がつらいときは妊婦用のアイテムを使うのも良い
- 妊娠初期の寝る姿勢で逆子になるって本当?
- まとめ
妊娠初期から寝る姿勢に注意しよう
健やかな妊娠継続のために、寝る姿勢は大切です。妊娠初期から注意したい、寝る姿勢のポイントを紹介します。
左向きの姿勢の方が血管は圧迫されない
子宮の近くにある下大静脈は、血管が太く活発に血液を運んでいます。下大静脈は背骨の右側にあるため、寝るときは体の左半分を下にしましょう。左向きで寝ることで、血管を圧迫せずに楽に眠れます。
上半身を起こした状態で寝る
お腹が大きくなるにつれ、仰向けで寝るとつらさを感じるようになるかもしれません。仰向けで寝られないときは、セミファーラー位がおすすめです。
セミファーラー位とは、仰向け寝の状態から15~30度程度上半身を起こした姿勢です。クッションや枕、背中までサポートできる傾斜付きの枕などを使い、上半身を穏やかに持ち上げましょう。
セミファーラー位で上半身を起こすと、腹部の重みが骨盤方向に流れます。下大静脈の圧迫を抑えられるため、落ち着いて眠れます。
寝る姿勢はシムス位がおすすめ
お腹が大きくなってきたら、シムス位を試してみましょう。シムス位の効果や具体的な方法を紹介します。
妊娠中にシムス位をとる効果とは
シムス位とは、うつ伏せから少し体を起こしたような姿勢です。シムス位で寝ると、骨盤や子宮周辺の筋肉の緊張を解消できます。お腹の重さを敷き布団やマットレスに預けられるため、重力による負担を軽減できるためです。
筋肉の緊張が解消されると寝付きやすくなり、疲労回復効果が高まります。お腹が大きくなると日常生活を送るだけでも大変です。体の状態が変わるにつれ、心の疲労も溜まっていくと考えられます。シムス位で効果的に体を休ませましょう。
さらに、シムス位は、妊娠中に起きがちな仰臥位低血圧症候群を抑制します。
仰臥位低血圧症候群とは
仰臥位低血圧症候群とは、妊娠末期の妊婦が仰臥位(仰向け)になるときに、子宮が大動脈を圧迫して低血圧になる症状です。
仰臥位低血圧症候群になると、吐き気を覚えたり、脈拍が速くなったりします。血流が悪くなるため、子宮のなかの赤ちゃんへの栄養供給も脅かされます。
就寝するとき以外でも、美容院で髪を洗ってもらったり、歯医者で施術を受けたりすると、仰向けになるケースが少なくありません。苦しくなったときは、シムス位や左側臥位(体の左側を下にした姿勢)の体勢になるなど、自身と赤ちゃんを守るよう対策を考えておきましょう。
シムス位のやり方とは
シムス位の手順は、以下のとおりです。
1.体の左側を下にして、うつ伏せ気味で寝る
2.下側の足を後ろに少し下げる
3.上側の足を曲げる
4.下側の手を背中の方に回す
5.上側の手を軽く前に添える
お腹が大きいと動きにくいため、無理のないようにゆっくりと体勢を整えましょう。なお、楽な体勢には、個人差があります。手や足の位置を少しずつ動かしてみて、リラックスできる体勢を探ってみてください。シムス位のイメージがわかりにくければ、担当医に相談してみましょう。
ケース別|妊娠初期におすすめの寝る姿勢
妊娠中には、腰痛などさまざまな症状に悩まされます。妊娠初期におすすめの寝る姿勢を、ケース別に紹介します。
腰が痛いとき
腰が痛いときには、シムス位や横向きが向いています。仰向けは反り腰を助長し、腰痛を悪化させる可能性があるため避けたほうが無難です。しかし、日頃から仰向けで寝ている人のなかには、妊娠しても仰向けで寝たいという人もいるかもしれません。
仰向けで寝たい場合は膝の下にクッションを挟んだり、骨盤ベルトを使ったりなどして腰痛対策をしましょう。クッションで膝を持ち上げると、反り腰が修正されます。また、骨盤ベルトは妊娠中に歪みがちな骨盤を修正し、腰痛を和らげてくれます。
胃がもたれているとき
お腹が大きくなるにつれ、各臓器が圧迫され、働きが悪くなる可能性があります。胃もたれを感じる際は、右側を下にして寝ましょう。胃のなかの食べ物は、消化されると十二指腸に移動します。十二指腸は体の右側にあるため、右側を下にすると食べ物がスムーズに移動し、胃もたれを防げます。
逆流性胃腸炎のとき
大きなお腹で胃が圧迫されることで、逆流性胃腸炎に悩む人もいます。逆流性胃腸炎になると、胃酸が食道にまで上がってきて不快です。
逆流性胃腸炎の際は、仰向けで寝ましょう。毛布やバスタオルなどを背中の下に敷き、腹部から上を高くすると胃酸の逆流を防ぎます。
坐骨神経痛のとき
太ももの裏側やふくらはぎ付近が痛かったり、しびれを感じたりする場合は、坐骨神経痛の疑いがあります。坐骨神経痛の際は、膝を曲げた横向きの姿勢がおすすめです。
横向きになったときに、上の足が前後に落ちてしまうと腰への刺激となります。太ももの間にタオルを挟んで、足が落ちないように支えましょう。また、腰を反らせたうつ伏せの状態は、腰痛やお腹への恐れがあるため避けてください。
恥骨痛のとき
恥骨痛とは、赤ちゃんの重みが恥骨を圧迫することで発生する痛みです。歩いたり寝返りを打ったりなどの動作に伴い恥骨痛が発生します。
恥骨痛のときの寝る姿勢には、仰向けがおすすめです。膝の下にタオルなどを入れ、反り腰にならないように気をつけましょう。足を閉じて寝ると、恥骨痛が和らぎます。
寝る姿勢がつらいときは妊婦用のアイテムを使うのも良い
妊婦用のアイテムとして、抱き枕などが販売されています。仰向けやうつ伏せで寝にくくなってきたら、妊婦用のアイテムを使って横向けに寝てみましょう。上のほうの足を抱き枕に乗せると、腰への負担を緩和できます。腰の後ろに抱き枕を置くと体を支えられて楽です。
素材や形状、機能など、さまざまな妊婦用のアイテムが販売されています。よく比較して商品を選びましょう。たとえば、出産後に授乳クッションとして役立つ抱き枕を選ぶと長く活用できます。
妊娠初期の寝る姿勢で逆子になるって本当?
寝る姿勢の良し悪しが、直接的な逆子の原因になるとはいえません。逆子とは、出産間近の赤ちゃんの頭が上を向いた状態を指します。通常は、分娩が近づくにつれ、赤ちゃんの頭は自然と子宮口に向きます。逆子のままでは通常分娩が難しくなり、急遽帝王切開になるケースも少なくありません。
逆子の具体的なメカニズムは解明されていません。ただし、一説には、逆子は赤ちゃんの自己回転が妨げられることで発生するといわれています。
逆子になった場合の対処方法とは
逆子と診断された場合の対処方法を紹介します。逆子の自己回転を促す方法として、胸膝法とブリッジ法の2つが挙げられます。いずれの体操も自宅ででき、体に負担がかかりにくいものです。無理のない範囲で体操を実行してみましょう。
胸膝法
胸膝法とは、胸部と膝を床につけて、腰を高くする姿勢を指します。多くの病院では、寝る前に10~20分ほど胸膝法を実施するよう指導されます。最初は数分程度からはじめ、慣れてきたら時間を延ばしましょう。
なお、腹帯などは、赤ちゃんの動きを妨げないように外しておくことをおすすめします。
ブリッジ法
ブリッジ法は、仰向けになり腹部を持ち上げる体操です。まず、胸膝法と同じく、赤ちゃんが活発に動けるように、腹帯など体を締め付けるものは外しておきます。次に、クッションや座布団などを腰の下に重ね、腰を高く持ち上げてください。安定感がなければ、家族やパートナーにサポートしてもらうと安心です。腰を持ち上げた姿勢のまま、10分ほどキープしましょう。
妊娠初期から出産直後まで、寝るときには腹部や下大静脈を圧迫しないように気をつけましょう。特に、シムス位や左側臥位などの体勢で寝ると、楽に眠れます。眠りにくいときは、抱き枕のような妊婦用アイテムも試してみましょう。
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