出産育児一時金とは?受給条件や3つの申請方法の違いについて解説
出産育児一時金とは、妊娠4ヵ月以上の出産等の費用に対して支給されるものです。この記事では、出産育児一時金について詳しく知りたいと思っている人に向けて、出産育児一時金の概要や受給条件などを解説します。出産育児一時金の申請方法についても解説するため、ぜひ参考にしてください。
- 出産育児一時金とは?
- 出産育児一時金の受給条件
- 出産育児一時金の申請の基本
- 出産一時金の申請方法1:直接支払制度
- 出産一時金の申請方法2:受取代理制度
- 出産一時金の申請方法3:事後申請
- まとめ
出産育児一時金とは?
出産育児一時金とは、どのような制度なのでしょうか。ここでは、出産育児一時金として受け取れる金額や対象者について解説します。
出産育児一時金の概要
出産育児一時金は、出産に伴って発生する費用に対してお金が支給される制度です。通常、病気やケガにより医療機関で処置を受ける際は、健康保険が適用されて自己負担額が軽減されます。しかし、出産は病気やケガではないため、健康保険が適用されません。出産時にはまとまった費用がかかるため、その負担を軽減する目的で出産育児一時金の制度が設けられています。
なお、出産に伴い受け取れるものとしては、出産手当金もあります。出産手当金は、出産のために会社を休んで給与を受け取れない場合に支給される手当金です。
出産育児一時金として受け取れる金額
出産育児一時金として受け取れる金額は、赤ちゃん1人につき50万円(※)です。多胎妊娠している場合は、赤ちゃんの人数に応じて出産育児一時金が支払われます。たとえば、双子を出産した場合は「50万円×2人分=100万円」が支給される仕組みです。
ただし、出産育児一時金として50万円を受け取れるのは原則であり、例外もあります。産科医療補償制度に加入していない病院で出産する場合、出産育児一時金として支給されるのは48万円8,000円です。(令和5年4月1日以降の出産より改正)また、付加給付金がある健康保険に加入している人は、50万円のほかに付加給付分も受け取れます。
(※)2023年4月より、子供一人あたりの支給額が42万円から50万円に引き上げられました。
出産育児一時金を受け取れる対象者
出産育児一時金を受け取れるのは、健康保険に加入している人です。健康保険への加入はすべての国民に義務付けられているため、基本的にはすべての人が出産時に出産育児一時金を受け取れます。自分で保険料を支払っていなくても、健康保険に加入している人の扶養家族なら出産育児一時金の受け取りが可能です。
ただし、出産育児一時金を受け取るには、出産の時期について条件が設けられています。くわしい条件については以下で解説するため、あわせて参考にしてください。
出産育児一時金の受給条件
出産育児一時金には受給条件が定められています。具体的な条件について、以下でくわしく解説します。
出産育児一時金の基本的な受給条件
出産育児一時金を受け取るには、健康保険に加入している必要があります。すでに触れたとおり、健康保険は国民皆保険制度であるため、この条件は基本的にすべての人が満たしています。
また、出産育児一時金が支給されるのは、妊娠4か月(85日)以降で出産した場合です。中絶や流産・死産などであっても、妊娠4か月(85日)以降であれば出産育児一時金が支給されます。早産になった場合でも出産育児一時金を受け取れます。
妊娠中の退職や転職はどうなるか?
妊娠中に退職や転職した場合は、時期によって扱いが変わる可能性があります。
退職までに健康保険の加入期間が1年以上あれば、退職から6か月以内に出産すると退職する前の勤務先の健康保険、あるいは国民健康保険(市町村)から出産育児一時金が支給されます。
退職までの期間が1年未満であったり、退職から6か月より後に出産したりするケースでは、夫の扶養に入れた場合、夫の健康保険から出産育児一時金の受給が可能です。
また、転職した場合は、新しい勤務先で加入している健康保険から出産育児一時金が支給されます。重複して受給できるわけではないため、注意しましょう。
出産育児一時金の申請の基本
出産育児一時金を受け取るには、被保険者自身が勤務先の健康保険や国民健康保険(市町村)へ申請する必要があります。申請時には「出産育児一時金支給申請書」を提出します。出産育児一時金の申請の期限は、出産の翌日から2年以内です。
申請先によっては、ほかにも書類の添付が求められる場合もあります。具体的には、母子手帳、医師の意見書、市区町村の証明書、住民票、戸籍抄本などが必要になる可能性があります。
出産育児一時金の受け取り方法は、直接支払制度、受取代理制度、事後申請のいずれかです。申請方法は、どの受け取り方法を選ぶかによっても異なります。
出産一時金の申請方法1:直接支払制度
ここでは、出産育児一時金の申請方法のうち、直接支払制度について解説します。
直接支払制度とは?
直接支払制度とは、医療機関へ出産育児一時金が直接支払われる制度です。医療機関が出産育児一時金を受け取るため、出産する本人は出産にかかった費用の差額分を支払うだけで済みます。医療機関へ実際に支払う金額が少なくなるため、負担を最小限に抑えられます。
なお、出産費用が50万円未満だった場合、その差額は本人が受け取ることができます。
ただし、直接支払制度はすべての医療機関で利用できるわけではありません。利用できない医療機関で出産する場合は、ほかの方法で出産育児一時金を申請する必要があります。
直接支払制度の流れ
直接支払制度を利用するには、出産する医療機関に保険証を提示したうえで直接支払制度に関する書類を提出する必要があります。医療機関から書類を提示されたらサインして提出しましょう。この場合、出産すると被保険者に対して明細書が交付されます。
医療機関が支払機関に出産育児一時金を請求すると、さらに支払機関が勤務先の健康保険または国民健康保険(市町村)に請求します。出産育児一時金が、勤務先の健康保険または国民健康保険(市町村)から支払機関へ支払われた後、支払機関から医療機関へ支払われる仕組みです。
出産一時金の申請方法2:受取代理制度
ここでは、出産育児一時金の申請方法のうち、受取代理制度について解説します。
受取代理制度とは?
直接支払制度と同様、受取代理制度も、出産育児一時金が直接医療機関へ支払われる制度です。ただし、直接支払制度とは異なり、申請そのものは出産する本人が行わなければなりません。この点が直接支払制度との大きな違いです。
受取代理制度は、基本的に直接支払制度を利用できない医療機関で出産する場合に選択します。
受取代理制度の流れ
受取代理制度を利用するには、申請書に必要事項を記入し、勤務先の健康保険または国民健康保険(市町村)に提出しましょう。勤務先の健康保険または国民健康保険(市町村)で申請書の確認が済むと、医療機関に対して申請受付通知書が送付されます。
出産後は、医療機関が勤務先の健康保険または国民健康保険(市町村)に対して出産にかかった費用に関する書類を送付します。その後、健康保険組合から医療機関に対して出産育児一時金が直接支払われる仕組みです。最初に勤務先の健康保険または国民健康保険(市町村)へ申請書を提出すれば、後は何もしなくても医療機関へ出産育児一時金が支払われます。
出産一時金の申請方法3:事後申請
ここでは、出産育児一時金の申請方法のうち、事後申請について解説します。
事後申請とは?
事後申請とは、自分で直接出産育児一時金を受け取る方法です。医療機関を介さず自分自身が出産育児一時金を受け取るため、出産後に退院するときはかかった費用をすべて自費で支払う必要があります。高額の出産費用を支払うのは大きな負担になりますが、クレジットカードで支払えばポイントの獲得も可能です。
事後申請は、直接支払制度や受取代理制度を利用しない場合に選択できます。
事後申請の流れ
医療機関から支払制度に関する書類を提示されたら、「直接支払制度・受取代理制度は利用しない」にチェックを入れて提出しましょう。
事後申請できるのは出産後であるため、退院する際は請求金額をすべて自費で支払います。事後申請の用紙、医療機関との合意書、分娩などの費用の明細書などを用意し、勤務先の健康保険または国民健康保険(市町村)に申請を出しましょう。申請後、2週間から2か月程度が経過すると、指定した銀行口座に出産育児一時金が振り込まれます。
出産する際は、基本的にすべての人が出産育児一時金を受け取れます。出産育児一時金により、出産時に発生する費用の負担を軽減できます。複数の申請方法があり、出産する医療機関によってもどれを選択できるか異なるため注意しましょう。
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