出生前診断の費用が医療費控除を受けられない理由は?控除対象の妊娠・出産の費用を解説
出生前診断を検討しているものの、医療費控除の対象内なのか確認しておきたいという人もいるでしょう。この記事では、出生前診断にかかる費用は、医療費控除を受けられるのか知りたい人に向けて解説します。また、出生前診断費用が医療費控除の対象になるのか、費用の目安などを詳しく解説します。ぜひ参考にしてください。
- 出生前診断費用は医療費控除の対象に入るのか
- 出生前診断費用の目安
- 出生前診断費用が医療費控除の対象外なのは治療につながらないケースがあるため
- 医療費控除を受けられる妊娠・出産に関する費用と控除額の出し方
- 妊娠・出産でかかった費用を医療費控除で申請する際の流れと提出書類
- まとめ
出生前診断費用は医療費控除の対象に入るのか
医療費控除とは、1~12月までの1年間にかかった医療費が一定額を超えた場合に、控除を受けられる制度のことです。
医療費控除の代表的な費用例は、入院・通院時にかかった医療費や薬代、通院の際に利用した公共交通機関の運賃などが挙げられます。以下では、出生前診断費用が医療費控除の対象になるのか解説します。
出生前診断は妊娠時に赤ちゃんの発育状態を確認できる検査のこと
出生前診断とは、妊娠中の赤ちゃんの発育状態に異常がないかを医師が診断することで、複数の検査結果に基づいて判断されます。出生前診断では、視覚的に判断できる異常や染色体の異常などから、先天性の疾患を調べることができます。
代表的な検査は、染色体の異常を調べられる血液や羊水の採取検査などです。妊娠中に産婦人科などを受診した際に受ける超音波検査や、胎児の心拍数のモニタリングによる診断も出生前診断に含まれます。
出生前診断費用はすべて自己負担が原則
2022年1月時点において出生前診断は自由診療に該当するため、診断にかかる費用はすべて自己負担になります。出生前診断費用にいくらかかるのかは、検査を受ける医療機関によって異なります。
また検査の種類ごとに検査費用が発生し、医療機関によっては高額になる可能性もあるため注意が必要です。出生前診断を受ける医療機関は、検査ごとにかかる費用を事前に確認したうえで慎重に選定しましょう。
出生前診断費用の目安
出生前診断費用は検査を行う医療機関によって異なりますが、一般的に20万円前後の費用がかかります。以下では、詳しく解説します。
確定検査費用の目安
確定検査とは、診断を確定するための検査のことです。代表的な検査は、絨毛検査と羊水検査です。絨毛検査は、腹部に針を刺して羊水や胎盤の内部にある絨毛細胞を採取する検査をいいます。羊水検査は、絨毛検査と同様に腹部に針を刺して羊水を採取する検査です。
どちらの検査も腹部に針を刺すことから、流産などのリスクが高まるといわれています。検査費用の目安は、どちらの検査も10~20万円程度です。
非確定検査費用の目安
非確定検査とは、該当する検査結果だけでは診断できない検査のことです。非確定検査結果と確定検査結果をあわせて、総合的に医師が判断して妊娠中の赤ちゃんの発育状態などを診断します。非確定検査の代表的な種類と費用の目安は、以下のとおりです。
検査の種類 | 費用の目安 |
超音波検査(エコー検査) | 2~3万円程度 |
新型出生前診断(NIPT) | 15~25万円程度 |
血液検査 (母体血清マーカー検査) | 2~3万円程度 |
血液検査 (コンバインド検査) | 3~5万円程度 |
出生前診断費用が医療費控除の対象外なのは治療につながらないケースがあるため
出生前診断では数万円~数十万円程度の費用がかかるため、医療費控除を受けられると家計の負担も減ります。しかし出生前診断費用は、医療費控除の対象にはなりません。以下では、出生前診断費用が対象外になる理由を解説します。
出生前診断費用は医療費控除を受けられない
2022年1月時点において出生前診断は、医療費控除を受けることはできません。医療費控除を受けられるのは健康保険が適用される入院・通院時にかかった医療費や薬代です。
出生前診断は治療に直接結びつかない可能性があることも、医療費控除の対象外になっている理由のひとつです。出生前診断にかかった費用は、全額自己負担となるため、受ける検査の種類が多いほど自己負担額も増えやすくなります。
出生前診断に関する公的な補助金制度は設けられていない
妊婦健診は各自治体で補助金制度が設けられていますが、2022年1月時点で出生前診断の補助金制度がある自治体は存在しません。
医療費控除を受けられる妊娠・出産に関する費用と控除額の出し方
医療費控除の対象になるのは健康保険が適用されることはもちろん、健康保険が適用される入院・通院時にかかった医療費や薬代です。妊娠や出産に関する費用の場合、医療費控除を受けられるものとそうでないものがあるため、以下で解説します。
医療費控除の対象になる妊娠・出産費用
妊娠・出産でかかった費用の中で医療費控除の対象になるものは、以下のとおりです。
・妊婦健診費
・入院費
・分娩費
・通院時の公共交通機関の運賃
・出産時などの緊急時に使用したタクシー代
・母乳外来費 など
妊娠・出産時に発生した医療費以外に、病気やケガなどで治療を受けた際の医療費なども医療費控除の対象になります。また、医師から貧血予防などの目的でサプリメントの摂取を勧められた場合は、サプリメント代も医療費控除を受けられます。
医療費控除の対象にならない妊娠・出産費用
出生前診断費用以外に、医療費控除の対象外になる妊娠・出産費用には以下のものが挙げられます。
・妊娠検査薬代
・医師からの指示がなく自己判断で購入したサプリメント代
・通院時のガソリン代
・里帰り出産をする際にかかった交通費
・入院時に自分で用意する洗面道具代などの雑費
・生後の赤ちゃんに必要なオムツやミルク代 など
他に、自己都合による入院時の差額ベッド代や飲食代などは治療に無関係のため、医療費控除に含めることはできません。
医療費控除額の計算方法
医療費控除額を計算する方法は、総所得が200万円未満か200万円以上かによって異なります。
総所得額が200万円以上の場合は、「医療費の年間合計額-補填金額-10万円」で計算します。
総所得額が200万円未満の場合は、「医療費の年間合計額-補填金額-(総所得×5%)」で計算します。
補填金額とは、出産育児一時金・家族出産育児金など、出産に関して受け取ったお金のことです。還付金は、上述の計算式で出た医療費控除額に所得税率を乗じて計算しましょう。
妊娠・出産でかかった費用を医療費控除で申請する際の流れと提出書類
妊娠・出産でかかった費用を医療費控除で申請する前に、申請の流れや必要な提出書類を確認しておきましょう。
医療費控除を申請できる期間や申請先、全体の流れを確認しておこう
医療費控除は誰でも受けられる制度ですが、1年間の医療費が10万円を超えた場合に申請を行うことができます。
医療費控除の申請は、確定申告の申告期間中に自分で必要な提出書類を作成しなければなりません。確定申告の申告期間は翌年の2月16日~3月15日で、申請書類の提出先は住所地を管轄する税務署です。医療費控除の申請の流れは、以下のとおりです。
1.1月1日~12月31日までにかかった医療費の合計金額を計算する
2.医療費控除額と所得税率を求める
3.確定申告書類の該当箇所に必要事項を記載する
4.確定申告書類を住所地を管轄する税務署へ提出する
5.還付金がある場合は指定口座に振り込まれる
参考:所得税の確定申告|国税庁
医療費控除の手続きを行う際に準備が必要な書類一覧
医療費控除の手続きを行う際は、添付すべき書類があります。申請する際は、以下の書類もあわせて用意しましょう。
・確定申告書AもしくはB
・医療費控除の明細書(内訳書)
・医療通知書
・源泉徴収票
・番号確認書類(マイナンバーカード、または通知カードや住民票などマイナンバーが分かるもの)
・身元確認書類(マイナンバーカード、または免許証やパスポートなど)
・印鑑
・銀行口座番号がわかるもの(通帳など)
医療費の領収書を添付する必要はありませんが、申請から5年間の保管が義務付けられています。また国税庁のe-Tax(国税電子申告・納税システム)を利用することで、郵送などの手間を省き自宅で申請を完結させられます。
出生前診断は医療費控除を受けることはできません。ただし妊婦健診費や入院・分娩費など、妊娠・出産時にかかった医療費の一部は医療費控除を受けられるため、確定申告で申請しましょう。また、妊婦専用の保険に加入すれば、妊娠中・出産後のリスクに備えることができます。
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