帝王切開は健康保険・医療保険は適用される?民間保険の必要性とは
出産には大きく分けて、自然分娩と帝王切開の2つの方法があります。帝王切開は医療を伴う出産であるため、保険が適用されるのか気になる人も多いのではないでしょうか。本記事では、健康保険・医療保険における帝王切開の取り扱いについて解説します。保険の適用範囲や、帝王切開にかかる目安の費用を紹介します。
- そもそも帝王切開とは
- 帝王切開が行われる主な理由
- 出産時に帝王切開が行われる割合とは
- 帝王切開は公的医療保険・民間医療保険が適用される
- 参考:自然分娩・無痛分娩の場合の保険適用
- 出産・帝王切開で受け取れるお金を確認しておこう
- 出産・帝王切開の前に考えておきたい保険とは
- まとめ
そもそも帝王切開とは
帝王切開とは、自然分娩では困難や危険が予測される出産の際に行われる外科手術です。麻酔をした後、下腹部を切開し、赤ちゃんを取り上げて縫合します。
自然分娩と違い手術の扱いになるため、入院の過程はもちろんお金の流れにも違いがあります。
帝王切開が行われる主な理由
帝王切開は予定されていることと、緊急で行われることがあります。状況に応じて帝王切開が行われる主な理由を解説します。
予定帝王切開の場合
予定帝王切開は、自然分娩が難しい状態が予測される場合にあらかじめ計画的に行う帝王切開です。
主な理由としては逆子、多胎児妊娠、逆子や前置胎盤など胎児の位置に関わるもの、赤ちゃんの頭が骨盤を通らない場合などさまざまです。
手術費用の目安としては自然分娩にかかる費用+20万1,400円ですが、3割負担で6万円ほどが目安となります。
緊急帝王切開の場合
緊急帝王切開は、トラブルによって予定していた自然分娩が継続できなくなった場合に行う帝王切開です。
主な理由には、胎児機能不全、常位胎盤早期剥離といったトラブルや、臍帯(臍の緒)によって胎児に危険が及ぶ場合、子宮のトラブルその他、母親の命に関わる場合などがあります。
手術費用の目安は22万2,000円ですが、3割負担では6万6000円が目安です。
出産時に帝王切開が行われる割合とは
出産時に帝王切開が行われる割合は27.5%ほど(2020年の日本看護協会の調査より)です。
この割合は年々増えており、1990年には10%程度だったものが30年で3倍弱の確率に上がったことになります。どの妊婦も、帝王切開になる可能性はあるといえるでしょう。
帝王切開は公的医療保険・民間医療保険が適用される
帝王切開は手術です。したがって、自然分娩では適用されない公的医療保険と民間医療保険がそれぞれ適用されます。保険の適用範囲を確認しましょう。
公的医療保険の適用範囲
帝王切開では、まず公的医療保険が適用されます。自己負担は3割で、具体的にかかる金額は予定帝王切開や緊急帝王切開など先述したとおりです。
このほかにも帝王切開は、出産育児一時金、高額療養費制度の対象となっています。これらの医療制度についての詳細は後述しますが、入院にかかるさまざまな費用を少ない自己負担でまかなうことができる制度は、概ね充実しているといえます。
ただし、入院にあたってかかる差額ベッド代、個室料、食事代などは保障対象外です。また分娩費は別途、自然分娩と同様に自己負担の範囲内として扱われます。
帝王切開は異常分娩という病気の扱いになりますが、3割負担になるのはあくまでも帝王切開の手術に伴う手術費、入院費のみと考えましょう。
民間医療保険の適用範囲
民間医療保険においても、帝王切開が保障対象になっている医療保険もあります。このような保険に加入していた場合、入院給付金・手術給付金などを受け取れる可能性があるでしょう。
参考:自然分娩・無痛分娩の場合の保険適用
帝王切開ではなく、自然分娩あるいは無痛分娩の場合は、保険適用になるのでしょうか。それぞれのケースについて確認しておきましょう。
公的医療保険の適用範囲
自然分娩や無痛分娩の場合、出産費用は公的医療保険の適用範囲外です。さらに高額医療費制度も対象外のため、かかる費用は全額自己負担となります。
具体的な金額は病院によって違い、費用の目安としては平均で50万円前後がかかるでしょう。ただし出産育児一時金は給付されます。出産育児一時金についての詳細は後述します。参考にしてください。
民間医療保険の適用範囲
民間医療保険において分娩は、病気やけがとして扱われないため基本的に保障対象外です。
無痛分娩の保険適用
無痛分娩とは、脊髄に麻酔を行うことで痛みや、痛みに対する不安をやわらげる分娩方法です。痛みがどの程度取れるかはケースバイケースの部分もあります。
無痛分娩で出産した場合、公的医療保険、民間医療保険ともに保障の適用範囲外であるのが一般的です。
出産・帝王切開で受け取れるお金を確認しておこう
出産や帝王切開にともなって受け取ることのできるお金もあります。どのようなお金を受け取れるのかを解説します。
出産育児一時金
出産育児一時金は、出産費用について健康保険から受け取れる制度です。
加入している健康保険組合・協会けんぽまたは市町村に申請します。自然分娩や無痛分娩に際しては、医療費3割負担といった保険適用はありませんが、出産育児一時金が出るためカバーされる割合は大きいと言えます。
支給対象者は妊娠4ヶ月目以上の方で、金額は赤ちゃん1人につき50万円(※)が支給されます。ただし医療機関が産科医療補償制度に未加入だった場合は48万8,000円です。支給対象の出産には、通常の出産だけでなく死産も含まれます。
また、健康保険組合・協会けんぽまたは市町村から病院に直接出産育児一時金が支払われる直接支払制度もあります。これを利用すれば、実際の入院費用から出産育児一時金を差し引いた金額を病院に支払うだけですむので便利です。
(※)2023年4月より、子供一人あたりの支給額が42万円から50万円に引き上げられました。
出産手当金
出産手当金は、出産のために会社を休む場合に、給与の一部に該当する金額を健康保険から支給される手当金のことです。
出産予定日の42日前から、出産の翌日以降56日の範囲で会社を休んだ方が支給の対象となります。
支給金額は、一日当たり標準報酬日額の3分の2です。勤務時の給与をベースに金額が決まるため、具体的な金額には個人差が出るでしょう。
出産手当金は、勤務している会社の健康保険から支給されるお金です。したがって出産手当金の支給を受けるには、出産する女性が、勤務している会社の健康保険に加入している必要があります。例えばパートでも自社の健康保険に入っていれば支給されますが、夫の会社の健康保険に扶養で入っている場合は支給されません。
高額療養費制度
厚生労働省の定義によれば、高額医療費制度は「医療機関や薬局の窓口で支払った額が、ひと月(月の初めから終わりまで)で上限額を超えた場合に、その超えた金額を支給する制度」です。
帝王切開に伴う手術、入院費は高額医療費制度の対象ですが、自然分娩、自己都合による差額ベッド代は対象になりません。
医療費控除
医療費控除は、1年間で10万円以上の医療費を支払った場合に適用されます。医療費控除額は総所得金額等に応じて変動するものなので、一概には言えません。申請をする場合は、区役所や税務署で申告を行います。
出産の場合、帝王切開はもちろん自然分娩でも、定期健診を含めた医療費、さらに通院費用までが医療費控除の対象になります。ただし出産育児一時金など受け取った金額分を差し引かなくてはなりませんので申告額には注意が必要です。
出産・帝王切開の前に考えておきたい保険とは
出産や帝王切開の前に、自分の保険について考えておきたいものです。出産や帝王切開に関わる可能性のある保険は以下のとおりです。
医療保険
民間の医療保険のなかには、出産や帝王切開など万が一の際に対応できるものがあります。正常分娩は支給対象外ですが、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病などは適応されることが多いでしょう。
多くは妊娠前、できるだけ早い段階で加入することがおすすめですが、妊娠してから加入できる「妊娠保険」もあるので検討してみましょう。
女性疾病特約保険
女性疾病特約保険は、医療保険における特約のひとつで、乳がんや子宮筋腫など女性特有の病気の場合に給付金が受けられるものです。
切迫流産、帝王切開も女性疾病特約でカバーできることがあります。医療保険の付帯契約を確認してみるのがおすすめです。
生命保険
生命保険は、大勢の人が保険額を支払い、万が一の場合に給付を受ける仕組みです。保険会社ごとのプランが多く存在し、内容も病気・事故、死亡保険など多彩なものがあります。医療特約等を付けていない場合、帝王切開だけで生命保険はおりませんが、出産を機に加入メリットを考えて加入するのもいいでしょう。
学資保険
学資保険は子どもの教育資金を準備するための保険です。保険料を毎月支払い、子どもが一定の年齢になったときにまとまった金額が給付される仕組みです。進学費用を早期に準備でき、100%以上の返戻率も期待できます。
帝王切開は、自然分娩とは違い、病気、手術という扱いになるため、各種の保険が適用されます。健康保険では3割の負担が求められますが、帝王切開に備えられる民間の保険に加入していれば保険がおりるため安心できます。
母子保険はぐは、妊婦のための専用の保険です。生まれた赤ちゃんも保障の対象になります。申込み後1~3営業日で加入できるため、安心です。妊娠から出産までを安心して過ごすために、ぜひ活用してください。
※帝王切開には予定帝王切開と緊急帝王切開があり、「標準サポートプラン」「しっかり手厚くサポートプラン」では緊急帝王切開手術が保障対象です。
安心できる出産のために、すでに加入している医療保険なども確認しつつ、これから自分にどのような備えができるか、まずはかんたん診断で確かめてみましょう。
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