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妊婦健診の費用は医療費控除の対象?確定申告の申請方法やよくある質問を解説
2022.12.28お金

妊婦健診の費用は医療費控除の対象?確定申告の申請方法やよくある質問を解説

この記事の監修者

CFP認定者、1級FP技能士など

瀬戸家みのり

本記事では、妊婦健診の費用と医療費控除について解説します。医療費控除でどれくらいのお金が返ってくるのかをチェックしましょう。医療費控除の申請方法も解説します。

もくじ
  • 妊婦健診の費用は医療費控除の対象
  • そもそも医療費控除とは
  • 医療費控除でどれくらいのお金が返ってくる?
  • 妊婦健診などの費用を医療費控除で還付する方法
  • 妊婦健診・医療費控除に関するよくあるQ&A
  • まとめ

妊婦健診の費用は医療費控除の対象

産婦人科で検診を受ける妊婦

原則、妊娠と診断されてからの妊婦健診の費用や通院費用は、医療費控除の対象となります。通院費用が含まれるのでよくチェックしておきたい項目です。ただし健康保険組合などから出産育児一時金などを支給されている場合は、医療費から差し引いて医療費控除額を計算しなければなりません。

医療費控除の還付金は、控除申請の手続きが完了してから1ヶ月~1ヶ月半後に指定口座に振り込まれる、もしくは最寄りのゆうちょ銀行の窓口で受け取ることができます。

医療費控除の対象となる費用の例

医療費控除の対象となる費用の例として、妊婦健診の費用、入院費、不妊治療費などがあります。妊娠と診断された後の通院費用や、出産のために入院するときのタクシー代も含まれるほか、母体保護法の規定に基づき医師によっておこなわれる、妊娠中絶も対象です。

また、妊娠期間中に妊娠に関連しない件で病院にかかった場合も、合算して医療費控除の対象となります。歯科や耳鼻科、かかりつけ医の受診料などについても、あわせて確認しましょう。

医療費控除の対象外となる費用の例

医療関係のなかでも、医療費控除の対象外になる費用もあります。

妊娠検査薬代、差額ベッド代、おむつ代、ミルク代などが、対象外費用にあたります。このほかにも、新型出生前診断(赤ちゃんに特定の染色体数異常がないかを調べる検査)をはじめとする胎児に対する遺伝子関連の検査は、治療を伴わないため医療費控除の対象外です。

ケースによって、無痛分娩のための講座受講に費用がかかることがあります。こちらも医療費控除の対象にはなりません。


関連記事:出生前診断の費用が医療費控除を受けられない理由は?控除対象の妊娠・出産の費用を解説

そもそも医療費控除とは

医療費控除とは、配偶者とその他の親族の医療費に対する所得控除制度です。医療費が一定以上の金額に達した家庭については、所得の合計額から所定の額が控除されるように定められています。

医療費控除の対象期間は毎年、1月1日~12月31日です。1年間でいくらの医療費がかかったのかで判断されますが、医療費控除の上限額は200万円です。

医療費控除に関しては年末調整で反映される控除ではなく、控除を受けるためには確定申告が必要になります。申告期間は、翌年2月16日~3月15日と決められているので、申告を忘れないようにしましょう。

セルフメディケーション税制との併用は不可

セルフメディケーション税制とは医療費控除の特例で、薬局などにおける特定医薬品の購入費用が年間1万2,000円を超える場合に利用できる所得控除です。
医療費控除はセルフメディケーション税制との併用ができないため注意しましょう。

ただし医療費控除を申請する場合、通院の原因に対する治療や療養のために購入した市販薬等は医療費控除の対象となります。

医療費控除でどれくらいのお金が返ってくる?

医療費控除の還付金額を計算する妊婦

医療費控除を申告するとどれくらいのお金が返ってくるか、気になるところです。医療費控除の具体的な金額について解説します。

還付される金額は所得によって異なる

医療費控除で還付されるお金は、所得によって異なります。

そもそも医療費控除とは、収入から計算した所得金額より医療費を差し引くことで、所得税・住民税の金額が抑えられる制度です。所得税の税率は所得金額によって異なるため、課税所得金額が高いほど、還付金は多くなる計算になります。

所得税の課税率は以下のとおりです。

課税される所得金額税率
1,000円 から 1,949,000円まで5%
1,950,000円 から 3,299,000円まで10%
3,300,000円 から 6,949,000円まで20%
6,950,000円 から 8,999,000円まで23%
9,000,000円 から 17,999,000円まで33%
18,000,000円 から 39,999,000円まで40%
40,000,000円 以上45%

※出典:No.2260 所得税の税率|国税庁

医療費控除額を計算する方法

医療費控除の対象額は自分で計算できます。

計算方法は「その年の医療費の合計-保険金などで補填された金額-10万円」です。
※総所得金額200万円までの場合は、所得金額の5%が控除対象となります。

これは言い換えると、保険金などで補填できなかった医療費が1年で10万円以上になったかどうかが申告の目安ということでもあります。

医療費控除のシミュレーション

具体的な金額を挙げて医療費控除をシミュレーションしてみましょう。
例えば、かかった費用や所得を以下の通りとし、その他の控除などは無いものとします。

・出産費用:60万円
・妊婦健診に向かうための交通費:10万円
・出産育児一時金:50万円(※)
・年収:600万円

まずは、医療費控除対象額を計算します。計算方法は上で解説したとおり、出産費用と交通費の合計から、保険で補填された出産育児一時金を差し引き、さらに10万円を引いた金額です。

計算式はこのようになります。
(60万 + 10万)-50万-10万 = 10万円

次に、還付額を計算します。還付額は、所得税率を用いて計算するため、上の表で所得税率を確認しましょう。所得600万円の場合は税率20%なので、以下の通りとなります。

年収600万円の所得税率→20%
10万 × 20% = 2万円

(※)2023年4月より、子供一人あたりの支給額が42万円から50万円に引き上げられました。

妊婦健診などの費用を医療費控除で還付する方法

医療費控除の書類の準備をする妊婦

医療費控除が初めてという方も多いでしょう。
医療費控除で妊婦健診などの費用の還付を受ける方法を解説します。

医療費控除に必要な書類を用意する

まずは必要書類の準備をしましょう。医療費控除に必要となる書類は以下のとおりです。

・確定申告書
・医療費控除の明細書
・医療費領収書(保管)
・源泉徴収票(原本)(e-Taxの場合は不要)
・マイナンバーがわかるもの(マイナンバーカード、マイナンバー通知カードなど)
・振込先口座番号

医療費控除をおこなう場合、領収書を確定申告書と一緒に提出する必要はありません。そのかわり、手元で5年間保管する義務があります。保管期間を明記し、ファイルしておきましょう。

確定申告書を提出する

書類が準備できたら、確定申告書を提出します。提出の手順は以下のとおりです。

1.医療費控除の明細書を作成
2.確定申告書の「収入金額等」の欄を記入
3.「医療費控除」の欄に控除金額を記入
4.税務署に提出

医療費控除の明細書は、内訳書とも呼ばれます。国税庁のホームページから、手書きやエクセルを使った書式をダウンロード可能です。

さらに確定申告書では、源泉徴収票などを見て自分の収入額を記載します。確定申告書の「所得から差し引かれる金額」のなかに「医療費控除」の欄があるのを確認し、あわせて記入しましょう。
書類ができたら税務署へ提出します。提出方法は税務署の窓口、郵送、e-Taxのいずれかです。それぞれの提出方法について解説します。

提出方法1:税務署の窓口

税務署の窓口で確定申告書を提出する場合は、税務署においてある用紙に記入するか、自宅で確定申告書をプリントアウトするなどして提出します。

税務署を訪れる手間はかかりますが、記入漏れなどを税務署の担当者にチェックしてもらえるので安心です。

提出方法2:郵送

郵送は、確定申告書などをまとめて所轄の税務署に送付する方法です。自宅で書類を作成したあとは投函するだけですが、提出時に担当者のチェックを受けることができないため、書類不足、記入漏れに注意してください。

提出方法3:e-Tax

e-Taxは、確定申告書等作成コーナーなどを活用して、確定申告書のデータを作成する方法です。パソコン、スマホでの提出に対応しており、源泉徴収票の提出が不要なのもメリットでしょう。国税庁のホームページから提出の手続きが可能です。

妊婦健診・医療費控除に関するよくあるQ&A

妊婦健診に関連する医療費控除でよくある質問をまとめました。確定申告書の出し方や期限についてチェックしておきましょう。

確定申告の期限を過ぎてしまった場合は?

確定申告の期限は2月16日から3月15日までと決められていますが、妊娠中は忙しいことも多く期限を過ぎてしまう可能性もあります。
確定申告の期限を過ぎてしまった場合も、5年さかのぼって申告が可能です。

確定申告書は2月16日以前に提出できない?

確定申告書の公的な受付は2月16日からですが、前年の医療費をもっと早くまとめることもできるでしょう。この場合、会社員など確定申告義務がない人であれば、2月16日よりも前倒しで確定申告書を提出できます。

夫婦のどちらが確定申告すべき?

医療費控除の確定申告は、制度上は夫婦どちらの名前でおこなっても問題はありません。ただし、医療費控除額は所得税率によって計算されるため、所得が高い方の名前でおこなったほうが、節税につながることが多いでしょう。

まとめ

妊婦健診の費用は医療費控除の対象として、確定申告で還付を受けることができます。妊婦健診やその交通費、生計を一にする家族の医療費を含めて、保険料で補填された分を除く年間の金額が10万円を超える場合は申告をおこないましょう。

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この記事の監修者

CFP認定者、1級FP技能士など

瀬戸家みのり

2003年特定の金融機関に所属しない「独立系FP」として開業。「おもしろい・わかりやすい・すぐ使える」をモットーにしているセミナーは、保険会社や労働組合を中心に通算1500回超。全国47都道府県を制覇し現在3周目。ガンダムまみれの夫と「図書館に住むのが夢」という本が大好きな小学生の娘の3人家族。

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