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出産にかかる費用はいくら?内訳や自己負担が軽くなる制度をわかりやすく解説
2022.12.28お金

出産にかかる費用はいくら?内訳や自己負担が軽くなる制度をわかりやすく解説

この記事の監修者

CFP認定者、1級FP技能士など

瀬戸家みのり

妊娠してうれしいと感じる一方で、出産までに費用がどのくらいかかるのか、気になる人も多いのではないでしょうか。この記事では、妊娠出産にかかる費用を知りたい人に向けて、出産に必要な金額や内訳、自己負担を抑える方法について解説します。妊婦検診にかかる費用についても解説しているため、ぜひ参考にしてください。

もくじ
  • 出産費用はどのくらいかかる?
  • 妊娠から出産までにかかる主な費用
  • 妊婦健診にかかる費用は妊娠週数によって変わってくる
  • 出産費用は分娩施設やタイミングでも異なる
  • 出産費用は出産方法でも異なる
  • 出産費用の自己負担を抑える方法
  • まとめ

出産費用はどのくらいかかる?

出産費用は都道府県によっても異なりますが、およそ50万円が一般的な金額とされています。

全国平均は約50万円

公益社団法人国民健康保険中央会が発表している、出産費用の全国平均によると、出産費用の平均は約50万円となっています。以下の表は平成28年度の内訳です。

種別項目平均金額
出産に直接かかる費用入院料11万2,726円
分娩料25万4,180円
新生児管理保育料5万621円
その他(検査・手当料など)2万7,687円
出産に関係する費用室料差額1万6,580円
産科医療補償制度1万5,881円
その他2万8,085円
合計50万5,759円

参考:公益社団法人 国民健康保険中央会|出産費用の全国平均値、中央値(平成28年度)


上記は病院・診療所・助産所における出産の平均値であり、年度によって若干の差異はありますが、大きな増減はみられません。

都道府県によって出産費用は異なる

出産にかかる平均費用は都道府県によっても異なり、都市部は高く、地方は低い傾向にあります。公益社団法人国民健康保険中央会の調査によると、最も出産費用がかかるのは東京都で、平均値は62万1,814円です。

反対に出産費用が最も低いのは、鳥取県の39万6,331円であり、東京都と20万円以上の差がみられました。居住地で出産するか、里帰り出産をするかの参考にすると良いでしょう。


参考:公益社団法人 国民健康保険中央会|出産費用の都道府県別平均値、中央値(平成28年度)

妊娠から出産までにかかる主な費用

費用を計算する妊婦

妊娠出産にかかる主な金額は、妊婦健診の費用と入院分娩に関わる費用の2つです。それぞれについて詳しく説明します。

妊婦健診と入院分娩の費用がかかる

妊娠から出産までにかかる大きな費用として、次の2つが挙げられます。

・妊婦健診費用
・入院分娩にかかる費用

妊婦健診費用の目安は7~8万円程度、入院や分娩にかかる費用は平均50万円程度です。その他、マタニティウェアや入院準備にかかる費用も考慮しておきましょう。自治体によっては妊婦健診にかかる費用に、助成金制度を設けている場合があります。自治体のホームページをチェックしてみてください。


関連記事:妊娠中・出産前後にかかる費用は?健康保険はどこまで適用されるのか
関連記事:妊娠初期の健診の頻度はどのくらい?妊婦健診のスケジュールを把握しよう

出産費用の内訳

前述したように、平均で50万円程度の出産費用が必要です。内訳は以下になります。

項目平均値
入院日数6日間
入院料11万2,726円
室料差額1万6,580円
分娩料25万4,180円
新生児管理保育料5万621円
検査・薬剤料1万3,124円
検査・手当料1万4,563円
産科医療補償制度1万5,881円
その他2万8,085円
合計50万5,759円

参考:公益社団法人 国民健康保険中央会|正常分娩の平均的な出産費用について


ただし上記は自然分娩の場合であり、帝王切開や吸引分娩では費用が異なります。

妊婦健診にかかる費用は妊娠週数によって変わってくる

妊婦健診を受ける妊婦

妊婦健診にかかる費用は合計で7~8万円程度ですが、妊娠週数によって1回にかかる金額が異なります。

妊娠初期~中期(4週~23週あたり)

赤ちゃんの心拍が確認されるまでの健診は、保険適用外となるため全額自己負担となり、初診では1万円程度の受診料が必要です。心拍の確認以降、妊娠中期までは月に1回のペースで受診します。

しかし、助成制度が利用できるため、自治体から配布される補助券(受診票)が利用可能です。補助券(受診票)とは、妊婦健診の会計で使用できる割引券のようなもので、医療機関に提出すると1回の妊婦健診が1,000円~3,000円前後になります。

妊娠中期~後期(24週~35週あたり)

妊娠中期から後期は安定期に入りますが、健診の頻度が2週間に1回程度になります。1回の妊婦健診にかかる費用は、1,000~3,000円程度が目安です。この時期は安定期とされていますが、必ずしも安全というわけではありません。

赤ちゃんの基本的な器官ができあがり、どんどん体重も増えてお腹の張りも感じやすくなります。切迫早産への注意も必要になるため、無理せず過ごすことを心がけましょう。

妊娠後期(36週~出産)

妊娠後期になると、健診の頻度は週に1回となります。1回の妊婦健診にかかる費用の目安は、3,000円程度です。臨月になり、いつ陣痛が来てもおかしくない時期になるため、経腹超音波検査、NST(ノンストレステスト)、内診など出産に向けて準備をします。内診で行う検査は、子宮口の状態や胎児の下降具合の確認などです。


関連記事:妊娠初期~出産までに受ける検査項目を紹介!妊婦健診の必要性や受けない場合のリスクも
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出産費用は分娩施設やタイミングでも異なる

出産費用は分娩施設によって異なります。また、タイミングによっては割増料金が発生することも覚えておきましょう。

分娩施設で異なる出産費用

分娩ができる主な施設には、「総合病院」「産婦人科クリニック」「助産所」などがありますが、それぞれ出産費用が異なります。分娩施設によって常駐している医師やスタッフの数、設備、提供するサービスなどに差があるためです。

厚生労働省の出産費用状況に関するデータをみると、以下のような平均額となっています。

・公的病院:44万3,776円
・私的病院:48万1,766円
・助産所含む診療所:45万7,349円

私的病院には私立大学病院、医療法人病院、個人病院が含まれていますが、個人病院は独自サービスを充実させるケースが多いため、費用が高い傾向です。


参考:厚生労働省|出産育児一時金について

お産が始まるタイミングで異なる出産費用

自然分娩のタイミングによっても出産費用が異なります。例えば、祝日や年末年始、深夜の分娩により割増料金が発生するケースです。陣痛、または破水から分娩にいたるまではある程度の時間がかかりますが、お産が始まるタイミングには個人差があります。

また、必ずしも出産予定日に生まれるとは限りません。自然分娩の場合は自分でコントロールできるものではないため、割増料金は必要経費と捉えて、少し多めに費用を見積もっておくと良いでしょう。

出産費用は出産方法でも異なる

赤ちゃんの出産

帝王切開や無痛分娩など、自然分娩以外の出産方法を選択することでも費用が異なります。

自然分娩の場合

前述した通り、自然分娩による分娩料は約25万円の費用が必要です。自然分娩とは麻酔などの医療処置をせず、自然な陣痛の発生を待つ出産方法で、健康保険の適用外となります。出産は病気ではないという考え方から、費用は全額自己負担しなければなりません。

ただし、加入している健康保険から出産一時金などの給付が受けられますので、事前に確認しておきましょう。出産一時金などの給付金については、別項で詳しく解説します。

帝王切開などの場合

帝王切開とは、手術によって赤ちゃんを取り出す分娩方法です。帝王切開の分娩料はどの病院も同額で、予定帝王切開では20万1,400円、緊急帝王切開の場合は22万2,000円となります。ただし、医療の介入が必要だと判断されるため、健康保険が適用可能です。

費用の自己負担額は3割で、約6万円となります。帝王切開を行う主なケースは前置胎盤や逆子、あるいは赤ちゃんや母体に命の危険がある場合です。自然分娩と比べて入院期間が長いため、入院費は高くなる傾向にあります。


関連記事:帝王切開は健康保険・医療保険は適用される?民間保険の必要性とは
関連記事:妊娠・出産に医療保険は必要ない?医療保険の必要性や保険加入しないリスクとは?

和痛出産・無痛分娩の場合

和痛出産・無痛分娩は、分娩時の痛みを抑えるために麻酔を使用する分娩方法です。医療行為とされますが、扱いとしては自然分娩と同じになります。麻酔を用いることから、自然分娩よりも費用が高くなる傾向です。

ただし、病院やクリニックによっても費用設定は異なり、対応していない施設もあるため確認が必要といえます。「和痛出産」と「無痛分娩」の名称や分娩方法も、施設や医療者によって異なるため注意しましょう。

出産費用の自己負担を抑える方法

負担する出産費用はできるだけ抑えたいものです。ここでは出産費用を抑えるために、活用したい給付金などについて解説します。

出産育児一時金を活用する

妊娠4カ月以上で健康保険に加入していると、出産育児一時金として50万円(※)が支給されます。これは出産育児一時金と産科医療補償制度を合計した金額です。ただし、産科医療補償制度に加入していない医療機関等で出産した場合は、48万8,000円(令和5年4月1日以降の出産)となります。

対象は加入者とその家族で、加入している健康保険への申請が必要です。費用の立て替えが不要な、「直接支払制度」や「受取代理制度」を導入している医療機関もあるため、確認しておくと良いでしょう。

(※)2023年4月より、子供一人あたりの支給額が42万円から50万円に引き上げられました。


関連記事:出産育児一時金とは?受給条件や3つの申請方法の違いについて解説

出産手当金を活用する

出産手当金は勤務先の健康保険に加入している、被保険者本人に支給される給付金です。産休中に給与の支払いがなくても、家族の生活を保障する目的で支払われます。出産予定日の42日前から出産後56日までの間に、給与を受け取っていないことが条件です。

ただし、出産手当金は支給されるまで1~2カ月かかります。支給額は以下の通りです。

1日あたりの支給額:【支給開始日以前の継続した12カ月間の各月の標準報酬月額を平均した額】÷30日×(2/3)


関連記事:出産手当金をもらうには?条件・支給額の計算例・申請方法などを解説

高額療養費を活用する

高額療養費制度は、1カ月あたりの医療費の自己負担限度額を超えた場合に、超過分を払い戻してくれる制度です。
帝王切開などで入院が長期化した場合などに利用すると、自己負担分を減らせます。限度額は所得によって異なり、申請には医療機関の領収書が必要ですが、ベッドや室料など保険適用外の支払いは対象になりません。


関連記事:妊娠や出産でかかった費用について医療費控除を受けるには?計算例や申請方法を解説

まとめ

一般的な出産費用は平均50万円程度とされていますが、分娩施設や出産方法によって金額は変動します。しかし、出産育児一時金や出産手当金等の利用により、自己負担を抑えることが可能です。活用できる制度を上手に使って、不安なく出産に臨みましょう。

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この記事の監修者

CFP認定者、1級FP技能士など

瀬戸家みのり

2003年特定の金融機関に所属しない「独立系FP」として開業。「おもしろい・わかりやすい・すぐ使える」をモットーにしているセミナーは、保険会社や労働組合を中心に通算1500回超。全国47都道府県を制覇し現在3周目。ガンダムまみれの夫と「図書館に住むのが夢」という本が大好きな小学生の娘の3人家族。

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