出産手当金をもらうには?条件・支給額の計算例・申請方法などを解説
出産して会社を休んだ場合、一定の条件を満たしていれば出産手当金を受け取れます。この記事では、出産手当金の受け取りについて把握したいと考えている人に向けて、出産手当金の概要を解説します。対象者や計算例とともに申請方法も解説するため、ぜひ参考にしてください。
- 出産手当金とは?
- 出産手当金を受け取るメリット
- 出産手当金の対象になる条件
- 出産手当金の対象にならないケースもある?
- 出産手当金の支給額のシミュレーション
- 出産手当金を受け取るための申請方法
- まとめ
出産手当金とは?
そもそも、出産手当金とはどのような制度なのでしょうか。ここでは、出産手当金の概要や出産一時金との違いなどを解説します。
出産手当金の概要
出産手当金とは、女性が出産により会社を休む場合に支払われる手当金です。出産の前後に会社を休んだ場合でも、基本的に会社から給与は支払われません。生活に必要なお金が不足し、本人や家族の生活に支障が出る恐れがあります。出産手当金は、そのような事態を防ぐ目的で用意されています。
出産手当金を受け取れるのは、会社に勤めている女性が対象となります。そのほかにもいくつか条件があるため、よく確認しておきましょう。
出産一時金との違い
出産育児一時金は、健康保険に加入しており、妊娠4か月以降に出産するすべての人に支払われます。会社に勤めているかどうかは関係なく、赤ちゃん1人につき50万円(※)が支給される仕組みです。
(※)2023年4月より、子供一人あたりの支給額が42万円から50万円に引き上げられました。
出産手当金と出産育児一時金の違いをまとめると、以下のとおりです。
種別 | 給付目的 | 申請先 | 給付金額 |
出産手当金 | 出産に伴う休業で無給となる女性の生活を保障するため | 勤務先の健康保険(組合健保や協会けんぽなど) | 標準報酬日額の3分の2 |
出産育児一時金 | 出産にかかる費用の負担を軽減するため | 加入している健康保険(家族の扶養に入っている場合は、被保険者の勤務先など) | 42万円(赤ちゃん1人あたり) |
出産手当金の対象者
出産手当金を受け取れるのは、勤務先で健康保険に加入している人です。一定以上の期間、健康保険に加入している必要があります。出産に伴い退職するつもりでも、条件を満たしていれば出産手当金を受け取れます。
出産手当金の受け取りの条件については後述するため、あわせて参考にしてください。
出産手当金を受け取るメリット
出産手当金を受け取れば、出産してから会社へ復帰するまでの生活費を確保できます。経済的な不安を減らせるため、育児に専念できるでしょう。また、出産手当金が支給される期間中は、雇用保険、健康保険、年金保険などの保険料も免除されます。加入実績にも影響が出ないため安心です。
出産手当金は、国民健康保険の加入者(例えば、フリーランスや自営業者)は受け取れません。そのため、会社員ならではのメリットといえます。
出産手当金の対象になる条件
出産手当金を受け取るにはさまざまな条件があります。ここでは、具体的な条件について解説します。
勤務先の健康保険に加入している
出産手当金は、勤務先で健康保険に加入している人にのみ支給されます。勤務先によって加入している健康保険はそれぞれ異なり、健康保険組合、協会けんぽ、共済組合などがあります。基本的にどの保険機関でも出産手当金の受け取りが可能です。健康保険に加入していれば、雇用形態は問わずすべての人に出産手当金が支給されます。
なお、出産のために退職する場合も、退職前に継続して1年以上健康保険に加入していた実績があれば、出産手当金を受け取れます。退職予定の場合は、自分自身の加入期間を改めて確認しておきましょう。
妊娠4ヶ月以降に出産する
出産手当金が支給されるのは、妊娠4か月(85日)以降に出産する場合です。仮に予定通り出産できなくても、妊娠4か月(85日)以降であれば出産手当金の支給対象になります。たとえば、人工妊娠中絶、流産、死産などの場合も、妊娠4か月以降なら出産手当金の受け取りが可能です。
妊娠4か月未満で人工妊娠中絶をしたり流産・死産になったりしても、休業に対して出産手当金は支払われません。
出産のために休業する
出産手当金は、出産のために休業して会社から給与を受け取れない場合に支給されます。そのため、休業の事実がなければ、出産しても出産手当金の対象になりません。
また、休業しても、「有給消化」での休暇等で会社から給与の支払いがある場合、出産手当金は受け取れません。ただし、給与が出産手当金として支給される金額以下であれば、差額を受け取れます。給与の支払いがある場合は、差額が発生しているか確認しましょう。
出産手当金の対象にならないケースもある?
会社に勤めて健康保険に加入していても、妊娠4か月(85日)未満に流産や死産をした場合は出産手当金が支給されません。会社を休業して給与を受け取れない期間があっても保障を受けられないため、要注意です。
また、産前産後の休業時に出産手当金以上の給与を受け取っている場合も出産手当金は受け取れないため、注意しましょう。
出産手当金の支給額のシミュレーション
出産手当金は、いくら支給されるのでしょうか。ここでは、出産手当金の計算式や計算例を解説します。
出産手当金の計算式
出産手当金の支給額は、過去12か月の給与(標準報酬月額)を平均して割り出した日給の3分の2に相当する金額です。
標準報酬月額とは、基本給に各種手当を加えた総額のことです。出産手当の日額は「(過去12か月の給与(標準報酬月額)の平均)÷30日×2/3」の計算により算出できます。
出産手当金の計算例
ここでは、過去12か月の給与(標準報酬月額)の平均が40万円の場合について、出産手当金の支給額を計算しています。出産前に40日間、出産後に53日間休み、合計で93日間休んだとしましょう。
このケースで支給される出産手当金の1日あたりの支給額は「40万円÷30日×2/3=約8,888円」です。出産手当金として支給される総額は「約8,933円×93日=82万6,584円」だとわかります。
出産手当金を受け取るための申請方法
出産手当金を受け取るには申請が必要です。ここでは、申請方法を具体的に解説します。
職場に伝える
出産手当金の申請は、勤務先を通じて行う必要があります。そのため、職場に妊娠を報告する際に、出産手当金の申請を希望する旨をあらかじめ伝えておきましょう。上司だけでなく、総務部や人事部にも相談しておくと、出産後スムーズに申請手続きができます。特に、産前と産後を分けて申請したい場合は、よく確認しておくと安心です。
申請書を受け取って記載する
出産手当金の申請をするには、「健康保険」または「保険者」から「健康保険出産手当金支給申請書」を取り寄せる必要があります。
会社の総務部や人事部に依頼すると手配してくれるケースも多いため、問い合わせてみてください。申請書が手元に届いたら必要事項を記入します。医師や助産師が記入する欄もあるため、忘れずに記載を依頼しましょう。
必要書類を集めて提出する
出産手当金の申請時には、健康保険証の写しが必要です。また、事業主の証明書類は会社に用意してもらう必要があります。ただし、必要書類は加入している勤務先の健康保険によっても異なるため、事前に確認しておきましょう。必要書類がすべてそろったら、勤務先の健康保険に対して提出します。
会社勤めをしていて一定の条件を満たしていれば、出産手当金を受け取れます。出産手当金は出産に伴う休業中の生活費に充てられるため、正しく申請して出産手当金を受け取りましょう。
なお、妊娠から出産までをより安心して過ごすには、保険に加入するのもひとつの方法です。母子保険はぐは妊婦専用の保険で、生まれた赤ちゃんも保障の対象になります。申込みから1~3営業日ですぐ加入できます。安心して出産するために、ぜひ活用してください。
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